俳句大会歴

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第23回 国連軍縮会議 in 松本 市民企画イベント 「平和な一句」  入選発表

テーマ
「平和な風景」「平和なもの」を詠う
選者
菅谷  昭   (松本市長)
宇多 喜代子  (現代俳句協会会長)
坪内 稔典   (俳句「船団」の会代表・佛教大学教授)
太田 治子   (作家)
飯島 ユキ   (俳句「羅」の会代表)

ごあいさつ

「第23回国連軍縮会議 in 松本」市民企画イベント「平和な一句」の開催にあたり、一言ごあいさつを申しあげます。
 松本市は、平和を愛する全ての人々とともに、核兵器の廃絶と戦争のない明るく住みよい明日の郷土を願い、昭和61年に「平和都市宣言」を発して以来、今年で25周年という節目の年を迎えました。
 このような節目の年に、第23回国連軍事縮会議が松本市で開催されますことは、平和行政の推進に市民挙げて取り組んできている松本市にとって誠に名誉なことであります。
 この「平和な一句」が、多くの市民の皆さんや、特に次代を担う若い世代の皆さんの平和に対する思いや願いを世界へ発信していただき、平和への機運が一層高まる場となることを強く願うところでもあります。
 結びに、企画・運営に携われた関係の皆様に心から御礼を申し上げ、あいさつとさせていただきます。

松本市長  菅谷 昭

総評

俳句には季語があるが、季語の中核は草花や虫たち、食べ物や行事である。つまり、身近で日常的なものだ。それらの日常的なものと親しみ、それらに詩を見つける。そして五七五音の言葉で表現するとき、たちまち俳句が生まれる。そんな俳句って、まさに平和な風景そのものだ。
私が選者優秀賞に選んだ「あめんぼをみんなでのぞく旅日和」の場合、仲間が皆、あめんぼと一緒に旅をしている気分になっている。ああ、平和!

坪内 稔典

ごあいさつ

このたび、第23回国連軍会議が松本で開催されるにあたり、俳句を通じて、多くの皆様と平和への想いを深めあうことができたならばとの願いを持って、「平和な一句」の俳句募集を、松本から全国へむけて発信いたしましたところ、全国各地や海外より、それも六歳から百歳までと、幅広い年齢層の方々から6987句もの俳句をお寄せいただきました。何といっても戦争体験者の方々の応募が目立ちました。これは、私たちが当たり前のことのように享受している現在の平和が、実はこれら諸先輩の皆様方のご苦労の末に成り立っているということの証であると思います。
応募句からは、一見何でもない和やかな日常生活を送ることこそが、誰をもが望み願っている平和であるということを窺い知ることができました。
今回の俳句募集に際し、多くのお力添えを頂きました。それぞれのお立場で、さまざまな形でご教示、ご支援をくださいました皆様方に、心から御礼申し上げます。
ありがとうございました。

飯島 ユキ

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一般優秀賞

松本市長 選
被爆樹に大暑の息を継ぎにけり
長崎市  岩本 千鶴子
宇多喜代子 選
みな丸き心寄せ合う露の玉
安曇野市(深志高校三年)  大林 野歩
坪内稔典 選
あめんぼをみんなでのぞく旅日和
京都市  藪ノ内 君代
太田治子 選
疎開地に今は旅人麦の秋
東京都   中江 泰子
飯島ユキ 選
諸草のみどりを重ねらいてう忌
長野市   水上 孤城
みな丸き 心寄せ合う 露の玉
All we are dewdrops; Rounding for lamenting loss And for do new steps,
反訳:「私たちみんなは露の玉だ。丸くなって集まり、喪われたものを悲しむが、
また新しい歩みを始めるために円陣を組んでいるのだ。」
英訳:石塚秀雄 Hideo Ishizuka

一般入選

麦の秋空気のように眠る母
京都市   藤野 雅彦
万緑や胎児に聞かすビートルズ
京都市   藤野 雅彦
反核のロックに踊る熱帯魚
那覇市  瀬良垣 宏明
日本が好き木の家が好きつばめくる
松本市    花岡 紅
麦秋のそろつて泣いて赤ん坊
西宮市   須田 保子
春葱は和風ソースで戴こう
南丹市  山本 たくや
犬は山男は海を見て涼む
諫早市   上野 泰子
草餅や遊ぼうあそぼ八十を
延岡市   稲見 倖子
夕風の通る窓あり豆ご飯
名古屋市   鈴木 京子
みんな来てきれいに食べて秋刀魚かな
大津市  川島 由紀子
山の日を存分に吸ひ桐の花
安曇野市   長崎 玲子
ライオンも象も欠伸や夏の風
呉市   渡辺 敞子
当歳の仔山羊を抱きて春野まで
長野市   松木 敏文
走り蕎麦小声で頼む昼の酒
上高井郡   安財 眞吾
梅雨明けて箒一本買いに行く
京都市   中尾 周平
図書館の平和コーナー涼しかり
松本市   菊入 公子
下萌や戦なき世の心ばえ
長野市   渡辺 忠男
おのづから磨ぐ手のやさし今年米
狛江市  青木 ふみ子
葱坊主は塔のはじまりかも知れぬ
安曇野市   丸山 澄夫
稲架掛けて車座に食ぶ握り飯
松本市   青木 千秋
メロン買ふ平和の国の年金日
安曇野市   西澤 吉昭
菖蒲湯や八十八を冥利とも
長崎市  青木 多津子
ほどほどに腹減る昼や花曇
松本市   青木 古道
梅雨明けや風に膨らむ服選び
安曇野市   丸山 敦子
想恩樹の花揺れ午後の睡魔来る
那覇市   石田 慶子
順不同

キッズ部門 入選句(小学生)

いちねんせいいけにおちたよあいうえお
大戸小一年(川崎市)   滝澤 亮太
ピッカピカほたるのおしりランドセル
塩尻西小一年   平栗 圭悟
春の陽は平和のようにあったかい
白鳳小(尾張旭市)二年  鈴木 ひらく
ヒロシマにおりにいったよ春のツル
長尾台小(宝塚市)二年   芳田 美鈴
カルピスの氷カラカラおどってる
開智小二年  宮坂 のぞみ
久々のプールだけっこう泳げるぞ
吉田小二年  安部 圭太郎
つゆくさの花の色水ぶどうみだい
源池小二年   堀田 将悟
ブランコの立ちこぎがすき春の風
源池小二年  山本 かんな
あめのひのかえるがまどにペッタンコ
付属松本小二年   柳田 桜子
ふくわらいしっぱいしてもおめでとう
付属松本小二年   洞澤 慶奈
ゆきだるまこおりの国からきた小人
付属松本小二年  柴谷 あかね
さくらさききょうからわたし二ねんせい
付属松本小二年  石曽根 有咲
さくらんぼいつもふたりであそんでる
付属松本小二年   須田 美咲
父の日のさくせんかいぎそわそわと
付属松本小二年   前田 まき
じてんしゃでつつじのみちをはしりぬけ
付属松本小二年   和田 星楽
せんそうがなくなるといい天の川
大園小(長崎市)三年   尉遅 和希
元気だな弟の声セミの声
塩尻西小四年   平栗 華乃
源池っ子青葉の下の土俵入り
源池小五年    中嶋 謙
母の日にタイムリーヒットを打った僕
吹上小(和歌山市)五年    北村 壮
夏の空太陽たちが笑ってる
島内小五年  二木 みのり
母の日の花一本に母なみだ
付属松本小五年   上木 佑太
燃えている秋の夕日とじいちゃんが
本郷小六年   柳沢 勇樹
まっ白な雪がふるのは平和な日
本郷小六年   滝澤 航希
たんぽぽは平和の種をはこんでく
本郷小六年    橋本 栞
夕焼けが私の帰りを待っている
本郷小六年   田中 汐佳
リビングに風鈴いつもひびいてる
付属松本小六年   込山 優花
桜の木平和な国をつくるんだ
付属松本小六年    森 瑞穂
夏の空平和の風を運ぶ鳩
御坂西小六年(笛吹市)   佐藤 純奈
順不同

キッズ部門 入選句(中学生)

春の山きれいな声がひびきけり
松川中一年  平林 あゆみ
制服で飛びこみたいよ夏の川
松川中一年   宮坂 哲朗
ビー玉に映る思い出涼しげに
松川中一年   相澤 美穂
父の日に買ったハンカチあげられず
松川中一年   栗林 智咲
秋ざくらちょっと止まって写真撮る
松川中一年  藤澤 彩紀子
冬の道父の手の中温かい
松川中一年   森 菜々子
渡り鳥みんなこれからどこいくの
松川中一年  百瀬 絵里奈
怒鳴らない月見の夜のお母さん
才教学園中一年   川瀬 綾乃
しばらくはワルツのテンポ秋の蝶
梓川中二年   青木 美和
倒れてはふたたび回る木の実独楽
付属松本中二年  土間 さおり
夏の夜小さな星が照らし合う
付属松本中二年   森畑 仁媛
セミ鳴く日サウナのような私の部屋
清水中三年   鈴木 彩香
Yシャツを透かして見えた夏の空
穂高西中三年   中野 香澄
ぽかぽかな春の日ざしにする二度寝
松川中三年   伊藤 実優
しゃぼん玉うつる世界は回ってる
松川中三年   中島 快斗
猫の背にやさしく触れる春の風
松川中三年   平尾 楓和
麦藁帽あの風ずっと待ちつづけ
松川中三年   綿内 晴香
友人と遊ぶ約束春の空
松川中三年   降幡 宏紀
幼子の春風受けてねむる顔
付属松本中三年   坂主 美海
辛い時寄り添いあおうさくらんぼ
付属松本中三年   中嶋 真柚
桑の実をとっては遊ぶ兵舎跡
付属松本中三年  北澤 みのり
暗闇に平和を祈る蛍の灯
付属松本中三年    嶋本 渚
 
順不同

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第2回 らいてう忌募集 入選句

坪内稔典 選

特選
わたくしも地球のパーツらいてう忌
松本市   神戸 千寛
秀逸
窓といふ窓開け放つらいてう忌
安曇野市   榊原 好恭
青すぐり一枝挿してらいてう忌
波田町   古畑 京子
乳房はいつも前向きらいてう忌
相模原市  大矢 すなを
なんとなく野歩きしたきらいてう忌
塩尻市   三木 周平
らいてう忌心ゆくまで山を見て
松本市    樟 一彦

矢島渚男 選

特選
雲天に一条の日矢らいてう忌
宇治市   更谷 英子
秀逸
らいてう忌花を掲げて山の木々
西宮市   須田 保子
霧ごめの白樺らいてう記念館
上田市   尾和 和子
曇りなく時代を見よとらいてう忌
安曇野市   佐藤 前後
乳房はいつも前向きらいてう忌
相模原市  大矢 すなを
らいてうを偲べばプール開きなり
安曇野市   丸山 敦子

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第1回 らいてう忌募集 入選句

大石悦子 選

特選
さりさりと白布断ちをりらいてう忌
百瀬 治子
秀逸
ひまわりの黄のまぶしさの一忌日
坂井 たづ子
篠の子の根の太々とらいてう忌
角田 良子
喫水線上がる小舟やらいてう忌
春待 碍子
滾る湯にはなつ山菜らいてう忌
田川 節子
花凌ぐ木々の芽吹きやらいてう忌
柳沢 昌

黒田杏子 選

特選
油揚げ一枚買ひぬらいてう忌
西澤 吉昭
秀逸
らいてうをよく知る人と忌を修す
上澤 樹實人
らいてう忌母に戦は似合はない
石塚 秀雄
ハードルをやはらかく飛べらいてう忌
須賀 梓
らいてう忌日の出の前の畑仕事
長崎 玲子
らいてうくわくこう憲法九条まてに啼け(まて…ていねい)
池田 久子

正木ゆう子 選

特選
太陽に瞼を閉ぢてらいてう忌
渡辺 重昭
秀逸
らいてうを語る夕べの素足なる
森田 美智子
らいてう忌また聴きに来る怒涛音
大竹 水鶏
日暮れより晴るる山並みらいてう忌
川越 悦子
らいてう忌朝日をあびて元気出す
川越 悦子
参政権も仕事も持ってらいてう忌
三上 貞子

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